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滄浪閣の最後の町の文化祭
「天城越え」爪弾く琴や文化の日



 先日の11月3日、旧伊藤博文邸の滄浪閣で行われた大磯町の文化祭を見に行った。
 滄浪閣は、経営不振で売却されることになっており、町の文化祭が行われるのは今年が最後になるそうだ。
 文化の日の3日は、湘南俳句会の義博さんの写真の展示のほかに眞里さんの大正琴の演奏もあった。
 会場は、最後の文化祭のせいか、例年よりも観客が多く、盛況だった。
 義博さんの写真は、「冬隣り」という冠雪した連峰風景と「彼岸花」という埼玉県日高市の群生地を撮った作品の2点が展示されていたが、どちらの作品も画面に張り詰めたような緊張感があって、なかなかの出来栄えだった。
 眞里さんの大正琴の演奏会は、定番の邦楽のほかに、石川さゆりの「天城越え」や山本リンダの「どうにも止まらない」などの演奏もあり、面白かった。
大正琴の演奏会を聴きに行ったのは初めてだが、琴の音色ばかりでなく、太鼓や笛などいろいろな楽器の音がだせるのには驚いた。エレキギターと同じということだ。
 琴の演奏が終った後、ちょうど見物に来ていた義博さんや知恵子さんに眞里さんも加わって、中庭の見えるロビーでコーヒーを飲みながら談笑した。
 うららかな秋の陽射しが中庭の樹木に照り映えて美しかった。


 考えてみると、この滄浪閣の文化祭にもいろいろな思い出がある。
 2年前の文化祭の舞踊会には、町内会の役員に頼まれて私の母も出演したのだ。
 母はもう80歳過ぎの高齢なので、最初は辞退したのだが、これが最後になるかも知れないという本人の希望もあり、踊ることにした。
 舞台に立つまでは、どうなることかと心配だったが、踊りだすとなんとかなるもので、途中波乱もなくどうにか無事に終了した。さすがに若いころからの年季が入っているだけのことはあると感心したが、それでもホッとしてドッと疲れがでたものだ。
 売却された後の滄浪閣は、葬祭ホールになるというウワサである。
 いずれにしても、母の踊りも義博さんの写真も眞里さんの琴の演奏会も、もう二度と滄浪閣で見る機会はない……。


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未分類 | 18:43:28| Trackback(1)| Comments(2)
重文の王福寺・薬師如来を拝観してきた
瑠璃光の薬師如来や柿熟るる



 大磯ガイドボランティア協会主催の「粕谷街道の古道を歩く」というハイキングに参加し、王福寺の薬師如来を拝観してきた。
 この薬師如来は、関東以北では五本の指に数えられるという藤原時代の仏像で、国の重要文化財に指定されている。
 本堂の横の小さな御堂(掲載写真)の中に祀られていて、一般公開はされていない。
 今回は特別に御堂の中に入れてもらい、手を伸ばせば触れるほど近くからその尊いお姿を拝観することができたが、残念ながら撮影は禁止だった。
 カヤの一木造りの坐像で、豊かな頬と広い肩幅が特徴的、そのたっぷりとしたボリュームに圧倒されてしまった。
 阿弥陀如来の西方極楽浄土に対し、薬師如来の居るところは東方瑠璃光浄土というそうで、城山公園になっている三井の別荘にあった国宝の如庵が犬山に移された後、大磯に残る最高のお宝といえるだろう。
 このハイキングでは、王福寺の他に相模国新西国33観音札所に指定されている東晶寺や観音寺、東の池などを巡り歩いた。


 特に東晶寺は、里山を背後にした閑静なお寺で、境内の片隅に壊された石仏が並べられていたのが印象的だった。
 粕谷街道というのは、大磯と伊勢原の粕谷地区を結ぶところから名づけられたということ。大磯の月京に相模の国の国府があった奈良時代には、重要な街道だったのだろう。
 鷹取山を眺めながら、長閑な農村地帯を散策し、うららかな秋の風景を満喫した一日だった。
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未分類 | 18:42:57| Trackback(0)| Comments(1)
鶏頭と相模川の河口風景
鶏頭や産業道の分岐点



 大磯方面から国道一号線を上って、相模川を渡ると綾瀬方面に向かう産業道路と交差する。
 その道路をちょっと走った交差点近くの農耕地に見事な鶏頭が咲いていた。
 鶏頭といえば、真っ赤な色を連想するが、その一群の花は黄色が主で、まるで人間が突っ立っているような不気味な存在感があった。
「鶏頭ほど人間的な雰囲気のある花はない」とある俳人が書いていたが、まったくその通りで、一般家庭の花壇などに植えるのは似合わない、やくざっぽい花なのだ。

  鶏頭の十四五本もありぬべし    正岡 子規
  人の如く鶏頭立てり二三本     前田 普羅
  我去れば鶏頭も去りゆきにけり   松本たかし

 鶏頭は、本当は人間に生まれるはずだった魂が、なにかの罰を受けて植物にされてしまった姿なのかも知れない、と相模川を渡りながら考えた。
 相模川といえば、珍しく平塚を舞台にした小説を読んだ。
 図書館で偶然手に取って、パラパラめくったら、冒頭に主人公が電車で相模川を渡るシーンがあったので、借りてきて一気に読んだ。
 白川道の『終着駅』という小説で、主人公の故郷が湘南の田舎町という設定。平塚らしい町の風景が随所に出てくる。作者は平塚の出身らしい。
 湘南の町でも、鎌倉とか藤沢は、よく小説や映画の舞台になるが、平塚が登場する小説は読んだ記憶がない。
 内容は、中年の奇妙に優しいヤクザと盲目の女の子の恋愛小説で、なかなか面白かった。まあ、「足長おじさん」の現代ヤクザ版だと思えばよいだろう。
 よく知っている平塚の町の風景描写がでてくるので、そのぶん感情移入してしまって、なんだか懐かしい気分になった。
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未分類 | 11:22:44| Trackback(0)| Comments(0)
突然だった句友の訃報
病みぬけし後の訃報や百日紅



 湘南俳句会の陽子さんが突然亡くなってしまった。
 先月の句会まではお元気そうで、大病の気配もなかったので、みんなビックリしてしまった。
 私とは家の方向が同じだったので、句会の帰りによく途中まで一緒に帰ったものだ。
心臓が悪く、坂道など苦しそうに歩いていた。途中で立ち止まり、「ゆっくり行くから、先に帰ってね」と微笑んでいたお顔が忘れられない。
 大腸ガンの手術を受け、手術そのものは成功したのだが、心臓のほうが耐えられなくて急逝されたという。
 享年69歳。女性の平均寿命が85歳といわれる現代では、早すぎる死といえるだろう。

   病みぬけて晴れ間の見えし百日紅   陽子

 昨年、病気から回復されて体調がよくなった時の句で、陽子さんの句で一番印象に残っている。
 掲句はこの句を「本歌取り」した追悼句である。
 もう一人、健康上の理由で4年ほど前に湘南俳句会を退会された木曜子さんも今年の3月に亡くなられていたことを知った。
 木曜子さんは、若いころは、山口誓子の「天狼」や橋本多佳子の「七曜」に所属していたという俳人の大先輩で、享年92歳の大往生だつた。

   北の窓車窓に淡き寒落暉    木曜子

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未分類 | 10:04:31| Trackback(0)| Comments(0)
横浜の屋上ビアホール
虹仰ぎ飲む屋上のホールかな



 梅雨晴れの暑い一日、横浜で友人に会い、ビアホールで一杯飲んだ。
 考えてみると、ここ数年、夏になっても屋上のビアホールで飲んだという記憶がない。
 ひと昔前までは、夏になれば、屋上ビアホールで一杯というのが定番で、私もサラリーマン時代には、先輩や同僚に誘われてよく行ったものだ。
 フツーの居酒屋とちがって、気軽に立ち寄れるし、時間も短く切り上げられる。なによりも開放的だから好きだった。
 上司の愚痴や会社の悪口が、周囲の嬌声にかき消され、星空に吸い込まれていくのを、ほろ酔い気分で聞いていたものだ。
 そんな屋上ビアホールが、いまはすっかり廃れてしまったらしい。
 昔はデパートの屋上など、どこでも営業してたのに、高島屋の屋上でもやっていないという。これだからデパートの売上が落ちるのだ。
 横浜駅周辺を探し回って、ようやく岡田屋モアーズの屋上に残存していることを発見した。
 ノスタルジックな気分で入ってみたら、現代の屋上ビアホールは、昔と異なり、飲み放題食べ放題3000円のバイキング方式になっていた。
 制限時間は2時間で、料理は中華料理。品数はそれほど多くないが、まあ、ビールのつまみとしては、充分だろう。
 周りのビルの谷間から港にかかるベイブリッジが見えるし、ロケーションもよい。
 若い女性のグループや家族連れなんかも来ていて、結構繁盛していた。
 飲んで食べてよい心持ちになったところで、夕空を見上げたら、なんと虹が出ていたのだ。
 ちょうどベイブリッジの真上にもうひとつの橋がかかったように、青みを残した黄昏の空にたつていた。
 ベイブリッジの瞬きに呼応して、神様が天上にのぼる橋を用意してくれたみたいだった。

    渡り来る人なき虹のたちにけり   飯島晴子

 このビアホールで飲んでいる人たちのうちに、あの虹の橋を渡って行ける人がいるのだろうか、とふと思った。
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未分類 | 10:25:43| Trackback(0)| Comments(5)
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