投稿日:2005-10-06 Thu
忘れ物してをり白き曼珠沙華
大磯の地福寺といえば、島崎藤村の墓があることで有名だが、もうひとつ知る人ぞ知るお寺の名物に秋の白い曼珠沙華がある。
白い曼珠沙華というのは珍しく、俳句にもほとんど詠まれていない。
私も朝日新聞に連載されていた俳人の黛まどかさんのエッセーを読み、初めて地福寺の境内に咲いていることを知った。
まどかさんは、その『季語のにおう町』というエッセ−の中で、秋になると訪ねたくなる町として大磯をあげ、地福寺の白い曼珠沙華を紹介している。
彼岸花といえば真紅というイメージが強いから、最初に白い曼珠沙華を見たときは、異様なものを見たようなショックを受けた。見慣れてみるとこれはこれで美しいが、やはり彼岸花は赤に限る。白い彼岸花はいわば「異端の美」といえるだろう。
地福寺の近くに住んでいた島崎藤村は、この寺の梅の花を好んだことから、老木の下に墓がつくられたという。白い曼珠沙華も藤村の時代から咲いていたのだろうか。
藤村の文学と近親相姦などの数奇な私生活とを考え合わせると、彼には、梅の花よりもむしろこの白い曼珠沙華のほうが似合っているような気がする。




