投稿日:2005-07-27 Wed
青梅雨やマリアを彫りし石灯篭
大磯駅前のエリザベスサンダースホーム内にある澤田美喜記念館は、踏絵や魔鏡など隠れ切支丹資料のコレクションで有名。キリシタンの本場、九州の天草や島原にも、ここほど資料の充実している施設はないという。
掲句は、その澤田美喜記念館の庭園に置かれている切支丹灯篭を詠んだもの。7月の湘南俳句会に欠席投句したところ、明次さんが特選を入れてくれた。ありがとう明次さん。
並選でいっぱい点数をもらうのもいいけれど、たとえ一人でも特選が入ると、とってもうれしい。なにしろ特選は一人一句しか選べない、選句者にとっては、その日の句会の最高の句なのだ。大勢の女性に好まれるよりも、たった一人の女性に熱烈に愛されたい……ちょっとちがうかな。
今月の最高点句は9点で、次の2句。
炎昼の眼に力ある人夫かな 由美
行商に茶の湯ひとつの端居かな 義博
由美さんは、先月の句会に続いての最高点、好調だね。
炎天下の路上で働く肉体労働者の活力を「眼に力ある」と把握したのは、さすがに由美さんらしい感性だが、下五の「人夫かな」がよくない。
単に言葉のイメージが差別的、というだけではなく、汗水垂らして前向きに働いている現場のエネルギッシュな雰囲気が伝わってこない。ここは、大工とか石工とか、具体的に職業がわかる名称のほうがよいだろう。
それに、「かな」という切れ字は「沈黙の感動詞」といわれるくらいで、「枯野」とか「すすき」とか靜的なものにつけたほうがよくはたらく。「人夫」につけると、せっかく働いている人夫が寝転んで休んでしまうよ。
たとえば、私がつくるとしたら、いま大磯は下水工事が盛んだから、「炎昼の眼に力あり配管工」とでもするだろう。
義博さんの句は、「行商」と「茶の湯」の取り合わせが面白いということで点が入ったのだろう。事実の写生かもしれないが、私は「茶の湯」はいかにも大げさで無理があると思う。
「行商に」の「に」も説明的でよくない。「行商のお茶一服の端居かな」ぐらいのほうがよいだろう。




