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徳富蘇峰記念館の梅と水仙
墨薄き久女の文や水仙花

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寒い、寒いといっているうちに節分も過ぎ、梅の花が咲く季節になった。
藤村の眠る地福寺や曽我の梅林など
毎年、この頃になると、巡り歩きたくなる梅の名所が幾つかあるが、
二宮・蘇峰記念館の梅林もそのひとつだ。
ここの梅林の特徴はなんといっても古木が多いこと。
樹齢300年になるという「臥龍梅」を初めとして、100年以上になる梅の古木が何本もある。
まだ五分咲き程度だったが、園内には梅とともに幽かな水仙の香りが漂よっていた。
ここには昔は牡丹も咲いていたそうで、
森澄雄の代表句〈ぼうたんの百のゆるるは湯のように〉は、
この記念館に吟行した際に詠んだものだそうだ。
記念館には、膨大な量の徳富蘇峰関係の資料が蔵されているが、
俳句関係の資料で忘れられないのは、杉田久女の書簡である。
久女が蘇峰と交際があったなんて、水茎の跡もうるわしいここの手紙を見て初めて知った。
坂本宮尾著の『杉田久女』によると、久女が「ホトトギス」同人を除名されたのは、
虚子に断られた句集の序文を蘇峰に依頼したためだという。
「ホトトギス王国」を築き、俳壇に君臨していた虚子にとって、
当時の文壇・言論界の最長老であった徳富蘇峰の存在は、
目の上のタンコブみたいなものだったのだろう。
「逆鱗に触れた」というのはいかにもありそうな話である。
そんなことを考えながら園内を散策していると、
青空に映える古木の梅よりも、足下に咲く水仙のほうが、よりゆかしく美しく感じられた。
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未分類 | 18:27:10| Trackback(0)| Comments(2)