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横浜・三渓園の桜と鴨
戯れ合ひて鴨群れ泳ぐ桜かな



麗かな春の一日、横浜の三渓園を友人三人で吟行してきた。
ちょうど桜が満開で、園内は桜狩の客でいっぱいだった。

 おうならもはなやぎみちて桜ばな  マヤ

大池には数十羽の鴨が、まるで舞い散る花びらに酔ったように漂っていた。
鴨は渡り鳥で、春になると北方へ帰ってしまうので、
いま時分みかけるのは、「残る鴨」といわれる帰りそびれた鴨なのだが、
それにしては、ずいぶん数が多いようだ。
きっと居心地がよいので、この池に居着いてしまったのだろう。

 大池に残りし鴨の漂へり    ミチ

実業家・原三渓の邸宅があった三渓園には、
臨春閣や天寿院、聴秋閣といった国宝級の建物が点在している。
それはよいのだが、縁切り寺として有名な鎌倉の東慶寺にあった仏殿や
京都・燈明寺の本堂まで移築しているのにはビックリした。
いくら財力があるとはいえ、このような信仰に関わるものまで、
金にあかして買い取ってきていいものだろうか。
しかし、まあ考えようによっては、三渓が私物化したからこそ、
歴史的建造物として現存しているのかもしれない。
やはり昔の大金持ちは大したものだと思う。
外国のビルやゴッホの絵なんか買い漁ったバブルの頃の金持ちと比べると、
同じ日本人でも、文化に対する貢献度やスケールがちがうのだ。
京都から移築した三重塔が建つ山から、桜満開の庭園を見下ろしてつくづくそう思った。

 段踏みて花の下界に近づけり   ヒロ


帰りは桜道を歩き、本牧通りまで出てバスに乗ったが、本牧の桜並木も美しかった。
本牧にあんなに長い桜並木があるとは知らなかった。
横浜というと、日頃は横浜駅や桜木町の周辺しか行かないのだが、
まだまだ知らないところがいっぱいある奥の深い町だと思った。
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未分類 | 12:06:45| Trackback(0)| Comments(5)
徳富蘇峰記念館の梅と水仙
墨薄き久女の文や水仙花

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寒い、寒いといっているうちに節分も過ぎ、梅の花が咲く季節になった。
藤村の眠る地福寺や曽我の梅林など
毎年、この頃になると、巡り歩きたくなる梅の名所が幾つかあるが、
二宮・蘇峰記念館の梅林もそのひとつだ。
ここの梅林の特徴はなんといっても古木が多いこと。
樹齢300年になるという「臥龍梅」を初めとして、100年以上になる梅の古木が何本もある。
まだ五分咲き程度だったが、園内には梅とともに幽かな水仙の香りが漂よっていた。
ここには昔は牡丹も咲いていたそうで、
森澄雄の代表句〈ぼうたんの百のゆるるは湯のように〉は、
この記念館に吟行した際に詠んだものだそうだ。
記念館には、膨大な量の徳富蘇峰関係の資料が蔵されているが、
俳句関係の資料で忘れられないのは、杉田久女の書簡である。
久女が蘇峰と交際があったなんて、水茎の跡もうるわしいここの手紙を見て初めて知った。
坂本宮尾著の『杉田久女』によると、久女が「ホトトギス」同人を除名されたのは、
虚子に断られた句集の序文を蘇峰に依頼したためだという。
「ホトトギス王国」を築き、俳壇に君臨していた虚子にとって、
当時の文壇・言論界の最長老であった徳富蘇峰の存在は、
目の上のタンコブみたいなものだったのだろう。
「逆鱗に触れた」というのはいかにもありそうな話である。
そんなことを考えながら園内を散策していると、
青空に映える古木の梅よりも、足下に咲く水仙のほうが、よりゆかしく美しく感じられた。
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未分類 | 18:27:10| Trackback(0)| Comments(2)
神奈川新聞に載った鑑賞文
句誌欄の紹介記事や寒椿

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朝起きたら、雪が降っていた。初雪である。
ひらきかかった庭の寒椿にちらちらと舞っている。
ここは大磯の山の上で、雪などめったに降らないので驚いた。
最近はビックリするような出来事が続いている。
つい先日の日曜日(1月20日)も、出かけるついでがあって、
たまたまコンビニで買った神奈川新聞をひらいたら、
文芸面の句誌歌誌欄に、なんと私の所属する俳句誌の次のような紹介記事が載っていた。
「◇句誌『蛮』3号 周籐迪之相氏は(Tシャツは拒絶の形して干され)(金子弓湖)を
『ピンと肩を張った格好が反抗期の心情を』と。蛮の会045(491)5745、1500円」
この鹿又栄一氏代表の『蛮』は、昨年の4月に創刊され、
ついこの間、第4号が届いたばかりの新しい同人誌で、
まさか清水基吉主宰の『日矢』や今井聖主宰の『街』など
有名俳人の結社誌と並んで紹介されるとは思わなかった。
しかも、3月号が刊行されたのは、昨年の10月だから、
紹介されるまで3カ月もかかっていることになる。
それだけ、各方面から新聞社に送られてくる雑誌の数は膨大なものになるということだろう。
担当者の机上には、有名無名の歌誌や句誌が山積みになり、崩れかかっているにちがいない。
その中から、『蛮』を選び、しかも私の書いた鑑賞文をわずか数行でも引用したくれたのだと思うと、
ただただ感謝の念でいっぱいである。
これというのも、同人諸士の作品が読み応えがあり、
句誌全体が充実しているせいだと思う。
読む人は読み、評価してくれるのだと思うと心強い。

新聞の書評といえば、昨年末の朝日新聞の文芸欄で紹介されていた
原宏一氏の『床下仙人』を読んだが、とってもオモシロかった。
他人の家の床下に住み込むホームレスやニセ社員、強制靴磨きの少女などを主人公にした短編集で、正月に起こった戸越銀座事件の少年のように包丁を振り回すことはなく、その寸前で危うく日常世界に踏みとどまっているユニークで涙ぐましい現代人の生態がよく描かれている。
原氏とは以前勤めていた会社で一緒だったが、こんなに才能のある人だとは思わなかった。
今年は大ブレイクして、下半期の直木賞候補になるかもしれない。楽しみである。
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未分類 | 08:59:42| Trackback(0)| Comments(4)
初詣の頼れる神様
振舞ひの甘酒熱し初詣

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正月も早いもので、五日になってしまった。
今年の正月は特に慌しくて、家でのんびりできたのは、元旦だけだった。
なんと毎年楽しみにしている箱根駅伝すら見物できなかったのだ。
せっかく母校の早大が12年ぶりに往路優勝したというのに、
そういう年に限って応援できないというのも何かの因縁なのだろう。

昨年からどうもツキがないようなので、ゲン直しに、初詣に出かけようと思い、昨年、友人の戸部民夫氏からいただいた『頼れる神様大辞典』という氏の著作を参考に、大磯近辺の頼れる神様を捜したのだが、適当な神社が見つからなかった。
この本は「健康」や「恋愛」「金銭」など悩みの種類別に頼りになる神様を紹介している大変有益な辞典なのだが、どうやら大磯には、私を助けてくれる神様はいないようだ。
で、自宅から一番近い御岳神社と白岩神社という二つの神社をお参りしてきた。
元旦のお昼過ぎに行ったので、両神社とも閑散としていたが、御岳神社ではまだ甘酒が残っていて、町内会の人が振る舞ってくれた。ありがたいことに、役員の方々が大晦日の夜から準備してくれるそうで、焚火であたためた甘酒は、舌が火傷しそうなほど熱かった。

今年も、このブログを楽しみにしているという年賀状を何通もいただいた。
たとえお世辞でもそういわれるととてもうれしい。
なかには「一人でみんなつくってるの?」と、なんだか懐疑的な賀状もあったけれど、
ホント、写真も俳句も記事もみんな私一人でつくっているのです。
なので、みんな揃えるのがなかなか大変で、書きたい内容はあっても、俳句ができなかったり、写真が撮れなかったりして、なかなか更新できない月もありますが、かんべんしてください。
楽しみにしてくれている読者の方がいる限り、今年もがんばって続けていきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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未分類 | 09:35:54| Trackback(0)| Comments(4)
西伊豆・松崎町の伊豆文邸交流句会
旅人の愁思の町やなまこ壁



 鏝絵の長八美術館やなまこ壁の町並みで有名な西伊豆の松崎町で、来年から俳句大会が開催されることになり、その準備のために町の俳人たちとの交流句会が行われるというので、湘南俳句会や西神田の句会の連中と参加してきた。
 一日目は、明治13年建築の重要文化財・岩科学校や海岸の棚田、禅宗の古刹・帰一寺などを見物し、200年前に建てられた商家を改装したというなまこ壁の名旅館「山光荘」に宿泊した。
 この旅館には、土蔵の軒先などに名人・長八が作った虎や龍、雀などの鏝絵が残されており、なんとあの漫画家のつげ義春も泊まって、「長八の宿」という漫画を描いたという。酒も料理も美味いし、遠い昔が偲ばれる暖かい心遣いにあふれた旅館だった。
 翌日は、長八美術館やなまこ壁通り、中瀬邸など町の中心部を散策し、懐かしい雰囲気のある松崎の町並みを堪能した。
 商店街の各店の店先には、俳句の書かれた行灯が飾られていて、読みながら歩くと、なかなかの名句ぞろいで楽しかった。俳句大会で入賞した作品は、このように行灯に書かれて、町の観光名所や商店の前に飾られるという。


来年の三月末に行われる俳句大会では、大串章、黒田杏子、小澤實という現代俳句界を代表する先生方が選をするというから、さぞ読み応えのある面白い作品が集まることだろう。いまから楽しみだ。興味のある人は、町のホームページをのぞいてみるといい。応募要項が載っているそうだ。
 松崎といえば桜の名所としても有名だが、那賀川沿いに延々と続く桜並木は6キロもあるという。俳句大会が開催される春のお花見ごろには、さぞ素晴らしい風景が楽しめることだろう。
 町の観光協会で、この町は、片山恭一原作の「世界の中心で、愛をさけぶ」というTVドラマのロケ地になったことを知った。
 原作の舞台になった四国の宇和島には、大学時代の友人がいるので、何度か訪ねたことがあるが、そういえば松崎の町とよく似ている。
 棚田に行く途中で通った西伊豆の海岸線も愛媛の宇和海とそっくりだった。そう思うと、突然、何十年も前の思い出が次々と甦ってきて、しばしなまこ壁の前で佇んでしまった。
 交流句会は、午後一時から伊豆文邸という古い商家の奥座敷で行われた。終始和やかな雰囲気で、地元の俳人たちとも合評でき、うれしかった。
 あんなゆったりした気分で句会が楽しめるのも「俳句の町」松崎という土地柄のおかげだろう。皆様どうもありがとうございました。
 句会での主な高点句は次の通りである。
 
  塗り込めし愁思幾重や鏝絵像    迪之相
  秋蝶の海に消えゆく棚田かな    小左郎
  鱗雲大河の如く流れけり      義博
  「持ってけ」と秋刀魚一提げ浜漁師 ちづる
  彼方まで桜紅葉の風渡る      つる子
  大銀杏落葉の円を作りけり     すみえ

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未分類 | 18:45:58| Trackback(0)| Comments(0)
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